「キング・オブ・オフロード」と名高いランドクルーザー70。その武骨なスタイルと圧倒的な存在感に憧れを抱く方は多いですよね。しかし、雪国にお住まいの方やウィンタースポーツを楽しむ方にとって、ランクル70の雪道性能は実際どうなのか気になる方も多いはず。
この記事では、、ランクル70が雪道に強い本当の理由から、ランクル70だからこそ知っておくべき雪道走行の注意点、そしておすすめのスタッドレスタイヤまで詳しく解説します!
- 1. ランクル70の雪道走行は乗り手の理解が不可欠
- 2. 雪道性能を支えるメカニズムを徹底解剖!ランクル70の強さの秘密
- 3. 【シーン別】ランクル70の雪道での走り!得意な道、苦手な道
- 4. ランクル70で安全に雪道を走るための必須知識と準備
- 5. 雪道だけじゃない!ランクル70と暮らす上でのメリット・デメリット
- 6. まとめ
1. ランクル70の雪道走行は乗り手の理解が不可欠
ランドクルーザー70(通称ランクル70)の雪道走破性は、現代の多くのSUVを凌駕するほど非常に高いです。その理由は、過酷な環境で人や物資を運ぶという本来の使命を果たすために、シンプルかつ堅牢なメカニズムが採用されているからに他なりません。
しかし、ここで一つ重要なことがあります。それは、ランクル70の強さは、トラクションコントロールや横滑り防止装置といった最新の電子制御デバイスに頼ったものではないということです。そのため、車の性能を過信し、その特性を理解せずに運転すると、思わぬところで足元をすくわれる可能性も秘めています。
1-1. なぜランクル70は「雪道に強い」と断言できるのか
ランクル70が雪道で絶大な信頼を得ている背景には、明確な理由が存在します。それは、近年の乗用車ベースのSUVとは一線を画す、本格オフロード車ならではの構造にあります。
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パートタイム4WDによる確実な駆動力伝達: 必要な時だけ四輪駆動に切り替えるパートタイム4WDは、路面とタイヤの状況をダイレクトにドライバーに伝えます。前後が直結されるため、滑りやすい雪道でも力強く前進するトラクション(駆動力)を生み出します。
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強靭なラダーフレームとサスペンション: トラックなどにも使われるはしご型の頑丈なフレーム(ラダーフレーム)は、路面からの強い衝撃をしっかりと受け止め、車体の歪みを許しません。この剛性の高さが、不安定な雪道での安定感につながるのです。
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圧倒的な最低地上高: ランクル70は地面と車体の底との間に十分なクリアランス(隙間)が確保されています。これにより、轍(わだち)の深い雪道や、新雪が積もった道でも、車体底部を擦ることなく突き進むことが可能です。
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粘り強いディーゼルエンジンのトルク: 再再販モデルに搭載された2.8リッターディーゼルターボエンジンは、低い回転数から力強いトルク(タイヤを回転させる力)を発生させます。この特性が、雪道での発進時や登坂時に非常に有効に働くのです。
これらの要素が組み合わさることで、ランクル70は他の追随を許さない圧倒的な雪道走破性を実現しています。まるで重戦車のような安心感で、深い雪の中でもグイグイと進んでいく感覚は、一度味わうと病みつきになるかもしれませんね。
1-2. 現代のSUVとは違う「乗り手の技量」が問われる側面
一方で、ランクル70の雪道性能を語る上で避けて通れないのが、電子制御の少なさです。 現代のSUVのほとんどには、以下のような安全装備が標準で搭載されています。
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VSC(横滑り防止装置): カーブなどで車が滑った際に、自動でブレーキやエンジン出力を制御し、車の姿勢を安定させる装置。
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TRC(トラクションコントロール): 発進時や加速時にタイヤの空転を検知すると、自動でブレーキをかけたりエンジン出力を抑えたりして、スリップを防ぐ装置。
再再販されたランクル70にも衝突被害軽減ブレーキなどの安全装備は搭載されていますが、上記のような走行安定性を補助する電子制御は、最新のSUVほど緻密ではありません。
これは何を意味するかというと、滑りやすい路面、特にアイスバーン(凍結路)では、車の限界を超えた操作をすると、そのまま滑ってしまう可能性が高いということです。車の性能に頼りきるのではなく、ドライバー自身が路面状況を的確に判断し、「急」のつく操作(急ハンドル、急ブレーキ、急アクセル)を避ける、丁寧な運転技術が求められます。
つまり、ランクル70は、乗り手との対話を楽しみながら、そのポテンシャルを最大限に引き出すタイプの車なのです。この「じゃじゃ馬」的な側面こそが、多くのファンを魅了してやまない魅力の一つと言えるでしょう。
2. 雪道性能を支えるメカニズムを徹底解剖!ランクル70の強さの秘密
ランクル70がなぜこれほどまでに雪道に強いのか、その秘密をもう少し深く掘り下げてみましょう。ここでは、その圧倒的な走破性を生み出す4つの核心的なメカニズムについて、一つひとつ分かりやすく解説していきます。
2-1. 理由①:信頼性抜群!パートタイム4WDシステム
ランクル70の雪道性能を語る上で、最も重要な要素がこのパートタイム4WDです。普段は後輪駆動(2WD)で走行し、雪道や悪路など、強い駆動力が必要な場面でドライバーが任意に四輪駆動(4WD)へ切り替える方式です。
▶ パートタイム4WDとは?仕組みを分かりやすく解説
少し専門的な話になりますが、この仕組みを理解することが、ランクル70を安全に乗りこなすための第一歩です。
現代の多くのSUVが採用している「フルタイム4WD」や「オンデマンド4WD」は、前後輪の回転差を吸収するセンターデフという機構を備えています。これにより、舗装路のカーブなどでもスムーズに曲がることができます。
一方、ランクル70のパートタイム4WDには、このセンターデフがありません。4WD(H4またはL4モード)に切り替えると、前輪と後輪がプロペラシャフトを介して直結された状態になります。これは、前後のタイヤが常に同じ回転数で回ろうとすることを意味します。
この「直結4WD」こそが、雪道で絶大な強さを発揮する理由です。例えば、前輪が滑っても後輪が、後輪が滑っても前輪が、それぞれ路面を捉えていれば、力強く車を前進させることができます。フルタイム4WDのように電子制御が介入するタイムラグもなく、ダイレクトに四輪へ駆動力が伝わるため、スタック(立ち往生)しにくいのです。
▶ 雪道での適切な使い方と注意点
パートタイム4WDは雪道で非常に頼りになりますが、その特性上、使い方には注意が必要です。
最も重要なのは、乾いた舗装路では絶対に4WDで走行しないことです。センターデフがないため、カーブを曲がる際に生じる前後輪の回転差を吸収できず、駆動系に大きな負担がかかります。最悪の場合、部品の破損につながる「タイトコーナーブレーキング現象」という症状を引き起こします。
雪道での基本的な使い方は、「滑りやすい路面になったらH4(ハイレンジ4WD)に入れる」です。市街地の圧雪路や高速道路の雪道などは、基本的にH4で十分対応できます。さらに深い新雪や、急な登り坂でスタックしそうになった場合は、より強力な駆動力を発揮するL4(ローレンジ4WD)の出番となります。
2-2. 理由②:悪路走破性の原点!堅牢なラダーフレーム構造
ランクル70の骨格を成すラダーフレームも、雪道での安定性に大きく貢献しています。これは、はしご(ラダー)のような形状の頑丈な鋼鉄製フレームの上に、エンジンやボディを載せる構造です。
乗用車から派生した現代の多くのSUVが採用する「モノコックボディ」(ボディとフレームが一体化した構造)と比較して、ラダーフレームは圧倒的に剛性が高く、ねじれに強いという特徴があります。
雪道では、轍やデコボコ、凍結など、路面状況が刻一刻と変化します。このような状況で、フレームが歪んでしまうと、サスペンションが正常に機能せず、走行が不安定になります。ラダーフレームは、どんなに過酷な路面からの入力を受けてもビクともしないため、タイヤを確実に路面に接地させ続け、安定した走行を可能にするのです。この安心感は、モノコックボディの車では決して味わうことのできない、ランクル70ならではの世界観と言えるでしょう。
2-3. 理由③:深雪も物ともしない!高い最低地上高と対障害角度
雪道を走る上で、物理的な「高さ」は非常に重要です。ランクル70は、その設計思想から、圧倒的な対地クリアランスを確保しています。
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最低地上高: 200mm
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アプローチアングル: 33°
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ディパーチャーアングル: 23°
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ランプブレークオーバーアングル: 26°
最低地上高とは、地面と車両の一番低い部分との距離のこと。この数値が大きいほど、深い雪や轍を乗り越える際に、車のお腹を擦って亀の子状態(スタック)になるリスクが低減します。200mmという数値は、一般的な乗用車やSUVと比較しても非常に高く、多少の深雪ならものともしません。
また、アプローチアングル(前方の障害物を乗り越える能力)、ディパーチャーアングル(乗り越えた障害物から降りる能力)、ランプブレークオーバーアングル(中央部の障害物を乗り越える能力)といった対障害角度も、雪山や林道などの険しい道でその真価を発揮します。
2-4. 理由④:低速で粘る!ディーゼルエンジンの強力なトルク
2023年に再再販されたランクル70には、プラドなどにも搭載され定評のある「1GD-FTV」型2.8L直噴ターボディーゼルエンジンが採用されました。このエンジンがまた、雪道との相性が抜群なのです。
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最高出力: 150kW (204PS) / 3,000-3,400rpm
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最大トルク: 500N·m (51kgf·m) / 1,600-2,800rpm
注目すべきは最大トルクです。500N·mという大トルクを、わずか1,600rpmという低い回転数から発生させます。これは、アクセルを少し踏んだだけで、力強い駆動力が得られることを意味します。
雪道では、タイヤを空転させずに、じわっと発進したり、ゆっくりと坂を上ったりする場面が多くあります。このようなシーンで、低回転から粘り強く力を発揮するディーゼルエンジンは非常に扱いやすいのです。アクセルを無駄に踏み込む必要がないため、スリップのリスクを抑え、安定した走行が可能になります。
3. 【シーン別】ランクル70の雪道での走り!得意な道、苦手な道
ランクル70が持つ強力なメカニズムは、雪道の様々なシチュエーションでどのように機能するのでしょうか。ここでは、具体的なシーン別に、その走りっぷりと、ドライバーが意識すべきポイントを解説します。オーナーになった気分で想像してみてください。
3-1. 圧雪路・新雪路:最も得意とするフィールド
降り積もったばかりの新雪路や、車が踏み固めた圧雪路は、ランクル70が最も輝くステージです。
H4モードに入れれば、直結4WDの強力なトラクションが路面をがっちりと掴みます。高い最低地上高のおかげで、20~30cm程度の積雪であれば、まるで何事もなかったかのように突き進んでいくことができます。除雪されていない道や、スキー場の駐車場などで、他の車がスタックしている横を悠々と走り抜けていく…そんな頼もしい姿を何度も見せてくれるでしょう。
ディーゼルエンジンの太いトルクも相まって、アクセルを深く踏み込むことなく、安定した速度で巡航することが可能です。車重が2トンを超えるヘビー級のボディも、雪を踏み固める「重し」として機能し、走行安定性に貢献します。まさに「陸の王者」を実感できる瞬間です。
3-2. アイスバーン(凍結路):最も注意が必要な場面
一方で、ランクル70が最も苦手とするのが、テカテカに凍ったアイスバーンです。これはランクル70に限った話ではありませんが、特に注意が必要です。
理由は、これまで説明してきた通り、緻密な電子制御が少ないためです。VSC(横滑り防止装置)などのアシストがないため、一度滑り出すと立て直すのが困難になる場合があります。特に、パートタイム4WDの特性上、前後輪が直結されているため、カーブでアクセルを踏みすぎると、内外輪の回転差から予期せぬ挙動(プッシュアンダーなど)を示すこともあります。
アイスバーンを走行する際は、以下の点を肝に銘じてください。
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「急」のつく操作は絶対にしない
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スピードは控えめに、車間距離は十分に
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4WDを過信しない
4WDはあくまで「進む力」を補助するものであり、「止まる力」や「曲がる力」を向上させるものではありません。むしろ、車重がある分、制動距離は長くなる傾向にあります。アイスバーンでは、どんな高性能な車でも滑るということを忘れず、慎重な運転を心がけることが最も重要です。
3-3. 登坂・下り坂:電子制御にはない「操る楽しさ」と難しさ
雪道の坂道も、ランクル70の特性が色濃く出る場面です。
登り坂では、L4モードとディーゼルエンジンの大トルクが真価を発揮します。普通の車では登れないような急勾配の圧雪路でも、タイヤを空転させることなく、力強くグイグイと登っていきます。
一方、下り坂では注意が必要です。現代の車に装備されているヒルディセントコントロール(スイッチ一つで極低速を維持してくれる機能)のような便利なものはありません。そのため、エンジンブレーキを最大限に活用して、フットブレーキへの依存を減らす必要があります。AT車ですが、ギアを低いレンジ(Sモードなど)に固定し、速度をコントロールする技術が求められます。フットブレーキを強く踏みすぎると、タイヤがロックして滑り落ちる危険性が高まります。
これらの操作は、現代の車に慣れていると少し難しく感じるかもしれませんが、これこそがランクル70を「操る楽しさ」なのです。路面と対話し、車の挙動を感じながら、自分の手足で困難な状況をクリアしていく達成感は、何物にも代えがたいものがあります。
3-4. オーナーの声:実際の雪国ドライバーはどう評価している?
インターネットのレビューサイトやSNSでは、雪国でランクル70を愛用するオーナーからのリアルな声が数多く見られます。
▶ ポジティブな意見:
- 「吹雪で視界が悪くても、この車なら家に帰れるという絶対的な安心感がある」
- 「除雪が追いつかないような大雪でも、全く問題なく走れる。まさに最強」
- 「冬の通勤や子供の送り迎えで、スタックの心配がなくなったのが一番大きい」
▶ 注意を促す意見:
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「調子に乗ってスピードを出すと、凍結路で本当に怖い思いをする。過信は禁物」
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「燃費は悪いけど、冬の安心感には代えられない」
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「良いスタッドレスタイヤを履くことが大前提。タイヤをケチると宝の持ち腐れになる」
やはり、多くのオーナーがその圧倒的な走破性に絶大な信頼を寄せている一方で、その特性を理解した上での慎重な運転と、適切な装備の重要性を口々に語っています。
4. ランクル70で安全に雪道を走るための必須知識と準備
ランクル70のポテンシャルを最大限に引き出し、冬のドライブを安全に楽しむためには、事前の準備と正しい知識が不可欠です。ここでは、絶対に押さえておくべき4つのポイントをご紹介します。
4-1. タイヤ選びが最重要!ランクル70に最適なスタッドレスタイヤとは?
どんなに優れた4WDシステムを持っていても、最終的に路面と接しているのは4本のタイヤです。雪道性能はタイヤで決まると言っても過言ではありません。ランクル70の性能を活かすも殺すも、スタッドレスタイヤ選びにかかっています。
4-1-1. サイズ選びのポイント
再再販モデル(GDJ76)の標準タイヤサイズは「265/70R16」です。基本的にはこの純正サイズに準じたスタッドレスタイヤを選ぶのがセオリーです。ホイールをインチダウンして、よりハイト(厚み)のあるタイヤを履かせるカスタムもありますが、まずは純正サイズで信頼性の高い製品を選ぶことをお勧めします。
4-1-2. ランクル70におすすめのスタッドレスタイヤ
ランクル70のような重量級の車両には、それに耐えうる剛性と、氷上性能・雪上性能を高いレベルで両立したスタッドレスタイヤが求められます。国内で定評のある主要ブランドであれば、まず間違いありません。
▶ ブリヂストン BLIZZAK(ブリザック)DM-V3
言わずと知れた冬タイヤの王道。特に氷上性能に定評があり、「ちゃんと曲がる、ちゃんと止まる」という安心感は絶大です。重量級のランクル70をしっかりと支える剛性感の高さも魅力です。
▶ ヨコハマ iceGUARD(アイスガード)SUV G075
氷上性能はもちろん、雪上性能や燃費性能のバランスに優れたタイヤです。
▶ ダンロップ WINTER MAXX(ウインター マックス)SJ8+
「ナノ凹凸ゴム」による密着技術で、氷上でのブレーキ性能に定評があります。SUV専用の「WINTER MAXX SJ8+」は、高い雪上・氷上性能を発揮します。
4-2. パートタイム4WDの正しい知識:いつ4WDにするべきか?
先述の通り、パートタイム4WDの使い分けは非常に重要です。
4-2-1. 舗装路での4WD走行がNGな理由
繰り返しになりますが、乾いた舗装路や、雨で濡れている程度の路面では、必ず2WD(H2モード)で走行してください。カーブなどで駆動系に無理な力がかかり、故障の原因となります。駐車場内での切り返しなど、小回りが必要な場面でも負担が大きくなるため注意が必要です。
4-2-2. 2WDと4WDの切り替えタイミング
では、いつ4WDに切り替えるのがベストなのでしょうか。
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雪が降り始めたら: 道路に雪が積もり始めたら、早めにH4モードに切り替えましょう。「滑り始めてから」では遅い場合があります。
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雪道と舗装路が混在する道: トンネルの中や日当たりの良い場所など、雪が解けている区間が出てくることもあります。短い距離であればH4のままでも問題ありませんが、乾いた路面が長く続くようであれば、こまめに2WDに戻すのが理想です。
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L4モードの使いどころ: L4モードは、ギア比が低くなり、非常に強力な駆動力を発揮します。通常の圧雪路では必要ありません。深い新雪にはまってしまった時や、凍結した急坂を登る時など、緊急脱出用として捉えておくと良いでしょう。
トランスファーレバーの操作は、慣れれば簡単です。安全な場所で、事前に何度か練習しておくことをお勧めします。
4-3. あると安心!タイヤチェーンや脱出用具の準備
いくらランクル70といえども、想定外の事態は起こり得ます。特に、ツルツルに凍結した急坂など、スタッドレスタイヤだけではどうにもならない状況も考えられます。万が一に備え、以下のアイテムを車内に常備しておくと安心です。
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タイヤチェーン: ランクル70のタイヤサイズに適合する、信頼性の高い金属製または非金属製のチェーン。特に「チェーン規制」区間を走行する可能性のある方は必須です。
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スノーヘルパー(脱出用プレート): スタックした際にタイヤの下に敷き、脱出を助けるための板。
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牽引ロープ: 他の車に助けてもらう、あるいは助ける際に必要です。
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スコップ: 車の周りの雪をかき出すために使います。
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長靴、防寒手袋: 雪の中での作業は、装備がなければ非常に辛いものです。
「備えあれば憂いなし」です。これらの装備を使う機会がないことが一番ですが、持っているというだけで、精神的な余裕が生まれます。
4-4. ランクル70特有の運転のコツ:急のつく操作は避ける
最後に、ランクル70で雪道を走る上での運転の心構えです。これは全ての車に共通することですが、電子制御の少ないランクル70では、より一層意識する必要があります。
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丁寧なアクセルワーク: じわっと踏み込み、タイヤを空転させないように。
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早めのブレーキング: 車重があることを意識し、ポンピングブレーキを心がける。
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滑らかなハンドル操作: カーブの手前で十分に減速し、ゆっくりとハンドルを切る。
車の挙動を常に感じ取り、路面と対話するような運転を心がけてください。そうすれば、ランクル70はあなたの意のままに雪道を駆け抜け、最高の冬のパートナーとなってくれるはずです。
5. 雪道だけじゃない!ランクル70と暮らす上でのメリット・デメリット
ランクル70の購入を検討する上で、雪道性能はもちろん重要ですが、日常生活での使い勝手も気になるところですよね。ここでは、オーナーになることで得られる喜びと、受け入れるべきいくつかの現実について触れておきましょう。
5-1. メリット:唯一無二の存在感と所有する喜び
ランクル70の最大の魅力は、その唯一無二の存在感にあります。街中に溢れる流線形のSUVとは一線を画す、角張った武骨なデザイン。どこへ行っても人々の視線を集め、ただ所有しているだけで満たされる特別な高揚感があります。流行に左右されない普遍的なデザインは、何年経っても色褪せることがありません。これは、機能性やスペックだけでは測れない、感性に訴えかける価値と言えるでしょう。
5-2. メリット:高い耐久性と信頼性、リセールバリュー
「どこへでも行き、生きて帰ってこられる」という開発思想のもと、世界中の過酷な環境で鍛え上げられてきたランクル70。その耐久性と信頼性は折り紙付きです。シンプルな構造ゆえに故障が少なく、万が一トラブルが起きても修理しやすいというメリットがあります。 また、その絶大な人気と信頼性から、リセールバリュー(再販価値)が非常に高いことでも知られています。数年乗っても価値が落ちにくいため、長期的に見れば経済的な選択となる可能性も秘めています。
5-3. デメリット:気になる燃費と乗り心地
良いことばかりではありません。現代の車と比較すると、いくつかの点は覚悟しておく必要があります。 まず燃費です。カタログ燃費(WLTCモード)は9.9km/Lとなっています。2トンを超える車重とディーゼルエンジンを考えれば健闘している方ですが、ハイブリッド車などが当たり前になった現代においては、決して良い数値とは言えません。燃料費はある程度覚悟しておく必要があります。
次に乗り心地です。ラダーフレームとリジッドアクスルサスペンションという構造上、路面の凹凸をダイレクトに拾いやすく、トラックのような硬めの乗り心地です。長距離移動では、最新のSUVのような快適性は期待できません。しかし、このゴツゴツとした乗り味こそが「ランクルらしさ」であり、魅力だと感じるファンが多いのも事実です。
5-4. デメリット:現代の車にはない「不便さ」も魅力?
ランクル70は、便利さや快適さを追求した車ではありません。例えば、乗り降りの際には「よじ登る」ような感覚が必要ですし、小回りも効きにくいため、狭い駐車場では気を使う場面もあるでしょう。 しかし、そうした一つひとつの「不便さ」や「手間」が、車との対話を生み、愛着を深めていく要素にもなり得ます。スイッチ一つで何でもこなせる便利な車にはない、機械を直接操作している感覚、つまり「操る喜び」がランクル70には詰まっています。この価値観を共有できるかどうかが、ランクル70と末永く付き合えるかどうかの分かれ道かもしれませんね。
6. まとめ
今回は、ランドクルーザー70の雪道性能について、その強さの秘密から具体的な走行シーン、そして安全に乗るための注意点まで、徹底的に解説してきました。
【ランクル70の雪道性能まとめ】
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結論: パートタイム4WDやラダーフレームなど、本格オフローダーならではの装備により、雪道走破性は極めて高い。
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強さの理由: ①確実な駆動力のパートタイム4WD、②頑丈なラダーフレーム、③高い最低地上高、④低速で粘るディーゼルエンジン。
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得意な道: 新雪・圧雪路では無類の強さを発揮する。
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注意点: アイスバーンでは電子制御が少ないため過信は禁物。丁寧な運転技術が求められる。
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必須準備: 性能を最大限に活かすには、高品質なスタッドレスタイヤの装着が絶対条件。
ランクル70は、単なる移動手段としての車ではありません。その無骨な佇まいと、乗り手に応えてくれる懐の深さは、まさに「相棒」と呼ぶにふさわしい存在です。 その特性を深く理解し、適切な準備と運転を心がければ、雪道は不安な場所ではなく、ランクル70との対話を楽しむ最高のフィールドに変わるはずです!