(出典:https://48rider.com/kuat-transfer-v2/)
この記事では、リアキャリアとヒッチキャリアの違いから、選び方の重要ポイント、法規に関する注意点、そしてジムニーにおすすめの具体的な商品まで詳しく解説します。
- 1. リア/ヒッチキャリアとは?
- 2. リアキャリア・ヒッチキャリア選びの重要ポイント
- 3. おすすめリアキャリア
- 4. おすすめヒッチメンバー&ヒッチキャリア
- 5. 取り付けと注意点
- 6. 気になる車検への影響は?
- 7. まとめ
1. リア/ヒッチキャリアとは?
ジムニー(JB64/JB74)の限られた積載スペースを補う方法として、ルーフキャリアやルーフラック、ルーフボックスが人気ですが、実は車両の後部(リア)にも荷物を積載するための様々なアイテムが存在します。それが「リアキャリア」や「ヒッチキャリア」と呼ばれるものです。これらを活用すれば、ルーフ積載とはまた違ったメリットが得られます。
1.1. リアキャリアとヒッチキャリアの違いを理解しよう
混同されがちですが、「リアキャリア」と「ヒッチキャリア」は、その取り付け方法や構造が異なります。
- リアキャリア (Rear Carrier):
- 定義: 主に、車両後部のボディやスペアタイヤキャリア(取り付け部)などを利用して直接固定するタイプのキャリア全般を指すことが多いです。自転車を積むサイクルキャリアや、荷物を載せるためのラック(カゴ)タイプなどがあります。ジムニーの場合は、背面スペアタイヤを取り外した跡のボルト穴や、専用のブラケットを利用して取り付ける製品が主流です。
- 特徴: 車両に合わせた専用設計品が多い。取り付けにはスペアタイヤの移設や取り外しが必要な場合がある。
- ヒッチキャリア (Hitch Carrier / Hitch Cargo Carrier):
- 定義: 車両後部に取り付けられた「ヒッチメンバー」の差込口(レシーバーチューブ)に連結して使用するキャリアのことです。荷物を載せるカゴ状や平台状の「ヒッチカーゴキャリア」が代表的ですが、自転車用やボックス型もあります。
- 特徴: ヒッチメンバーの装着が前提となる。アタッチメント(キャリア部分)の脱着が比較的容易。様々な種類のアタッチメントが存在します。
簡単に言えば、「車体に直接付けるのがリアキャリア、ヒッチメンバーに付けるのがヒッチキャリア」と考えると分かりやすいでしょう。どちらを選ぶかによって、取り付けの手間、積載できるもの、そして法規上の注意点などが変わってきます。
1.2. リアキャリアのメリット・デメリット
ジムニーの背面スペアタイヤ取り付け部などを利用するリアキャリアには、以下のようなメリットとデメリットがあります。
- メリット:
- 荷物の積み下ろしが比較的楽: ルーフキャリアに比べて低い位置に荷物を積むため、重い物でも比較的楽に積み下ろしができます。
- 高さ制限の影響を受けにくい: 全高が高くならないため、立体駐車場などの高さ制限を気にする必要がほとんどありません。
- ジムニー専用設計が多い: 車両との一体感があるデザインや、確実な取り付けが期待できる製品が多いです。
- デメリット:
- スペアタイヤの移設・取り外しが必要な場合が多い: キャリアを取り付けるために、背面スペアタイヤを取り外す必要があります。
- 耐荷重が比較的低い: 取り付け箇所の強度に依存するため、ヒッチキャリアに比べて最大積載量が少ない製品が多いです(数十kg程度が一般的)。
- 後方視界への影響: 積む荷物によっては、バックミラーやリアウィンドウからの後方視界が悪くなる可能性があります。
- リアゲート開閉への干渉: キャリアや積載物がリアゲートの開閉を妨げる場合があります。開閉可能な設計か、荷物を降ろす必要があるか確認が必要です。
- 法規(ナンバープレート・灯火類): 荷物でナンバープレートやテールランプ、ウインカーが隠れないように注意が必要です(詳細は後述)。
1.3. ヒッチキャリアのメリット・デメリット
ヒッチメンバーを介して取り付けるヒッチキャリアには、以下のようなメリットとデメリットがあります。
- メリット:
- 比較的高い耐荷重: ヒッチメンバー自体がフレームに強固に固定されるため、リアキャリアよりも重い荷物を積載できる製品が多いです。
- 多様なアタッチメント: カーゴキャリア(カゴ/平台)、サイクルキャリア、ボックスなど、用途に合わせて様々なアタッチメントを付け替えて使用できます。
- 脱着が容易: キャリア部分(アタッチメント)は、ヒッチメンバーの差込口にピンで固定するだけのものが多く、不要な時には比較的簡単に取り外せます。
- ルーフキャリアとの併用も可能: ルーフとリアの両方に積載スペースを確保できます。
- デメリット:
- ヒッチメンバーの装着が必須: まずヒッチメンバーを車両に取り付ける必要があり、そのための費用と手間がかかります。
- 車両全長の増加: キャリアを取り付けると車両の全長が長くなるため、運転感覚に慣れが必要です。全長制限にも注意。
- 段差や傾斜での接触リスク: 車両後端が下がりやすくなるため、急な坂道や段差などでキャリアの底面を擦るリスクがあります。
- 法規(ナンバープレート・灯火類): リアキャリア以上に、ナンバープレートや灯火類が隠れやすいため、移設や増設灯火キットが必要になるケースが多いです(後述)。
- ヒッチメンバー自体の重量: ヒッチメンバー自体もそれなりの重量があります。
1.4. どんな荷物を積む? 用途に合わせた選択が重要
結局のところ、リアキャリアとヒッチキャリアのどちらが良いかは、「何を」「どれくらい」「どのように」積みたいかによって決まります。
- 比較的軽量な物、汚れ物などを手軽に積みたい → リアキャリア (例: キャンプの小物、ゴミ、スコップなど)
- 自転車を積みたい → リアサイクルキャリア or ヒッチサイクルキャリア
- 重い物、大きな物を積みたい → ヒッチキャリア
- 様々な用途に対応したい、脱着を頻繁に行いたい → ヒッチキャリア
- スペアタイヤを外したくない → ヒッチキャリア
それぞれのメリット・デメリットを理解した上で、自分の用途に合った方式を選びましょう。次の章では、選ぶ際の具体的なチェックポイントを見ていきます。
2. リアキャリア・ヒッチキャリア選びの重要ポイント
ジムニーの後部積載力を高めるリアキャリアやヒッチキャリア。便利な反面、選び方を間違えると「取り付けられなかった」「すぐに壊れた」「法律違反になった」といったトラブルにも繋がりかねません。後悔しないために、購入前に必ずチェックすべき重要なポイントを解説します。
2.1. 取り付け方式と適合確認(ジムニーJB64・JB74用か?)
まず基本中の基本ですが、そのキャリアが自分のジムニー(JB64またはJB74)に適合するかを必ず確認してください。
- リアキャリアの場合:
- スペアタイヤ取り付けボルトを利用するタイプか、ボディに穴あけ加工が必要なタイプかなど、取り付け方式を確認します。
- JB64(軽)とJB74(シエラ)では、リアバンパー形状やスペアタイヤの位置が若干異なるため、どちらの型式に対応しているかを明記している製品を選びましょう。
- スペアタイヤを移設・取り外す必要があるか、純正バンパーのままで装着可能かなども確認が必要です。
- ヒッチキャリアの場合:
- まず、装着するヒッチメンバーがJB64/JB74に適合するかを確認します。ヒッチメンバーにも様々なメーカーや種類(クラス)があります。
- 次に、使用するヒッチキャリア(アタッチメント)が、装着するヒッチメンバーの差込口サイズ(ヒッチ角:例 2インチ角、1.25インチ角)に対応しているかを確認します。当たり前ですが、サイズが合わないと装着できません。
適合確認を怠ると、購入しても取り付けられない、という最悪の事態になりかねません。メーカーの適合情報を必ず確認しましょう。
2.2. 耐荷重は最重要チェック項目!(キャリア・ヒッチ・車両側)
安全に関わる最も重要なポイントが耐荷重(最大積載量)です。以下の3つの耐荷重を確認し、最も低い値を超えないように荷物を積む必要があります。
- ① キャリア自体の耐荷重: リアキャリアやヒッチキャリア(アタッチメント)本体に定められている最大積載量。
- ② ヒッチメンバーの耐荷重(ヒッチキャリアの場合): ヒッチメンバーには、垂直荷重(上からかかる重さ)と牽引能力のスペックがあります。ヒッチキャリアに関係するのは主に垂直荷重です。ヒッチメンバーのクラス(強度区分)によって異なります。
- ③ 車両側の制限: 車両の構造や取り付け箇所の強度に基づく制限。リアキャリアの場合は取り付け部の強度、ヒッチキャリアの場合は車両のフレーム強度などが関わります。メーカーが推奨する値を確認する必要があります。
2.3. サイズとデザイン:積載物と見た目のバランス
キャリアのサイズやデザインも重要な選択要素です。
- サイズ:
- 積載物が入るか?: 積みたい荷物(コンテナボックス、クーラーボックスなど)の寸法を測り、キャリアの内寸に収まるか確認しましょう。
- 車両とのバランス: あまりに大きなキャリアは、ジムニーのコンパクトなボディには不釣り合いに見える可能性があります。
- 全長・全幅: 後述する法規(全長1.1倍以内、全幅はみ出し不可)に抵触しないサイズである必要があります。
- デザイン:
- 車両全体のスタイル(ノーマル、カスタム)に合わせて、キャリアのデザイン(素材感、形状、色など)を選びましょう。武骨なスチール製、軽量なアルミ製、シンプルなパイプ形状、機能的なボックス型など様々です。
2.4. 素材と重量:耐久性と扱いやすさ
キャリアの素材は、耐久性、重量、価格に影響します。
- スチール製: 頑丈で比較的安価ですが、重く、錆びやすい(防錆塗装は必須)。
- アルミ製: 軽量で錆びにくく、スタイリッシュな製品が多いですが、高価になる傾向があります。
- ステンレス製: 錆に非常に強く耐久性も高いですが、最も高価になります。
キャリア自体の重量もチェックポイントです。重いキャリアは、取り付け・取り外しの際の負担が大きく、車両の燃費や走行安定性にも影響を与えます。また、前述の通り、実際に積める荷物の重量は「車両側の制限値-キャリア重量」となるため、キャリアが軽いほど多くの荷物を積めます。
2.5. 【重要】法規の適合(ナンバープレート・灯火類の視認性、全長制限)
リアキャリアやヒッチキャリアを使用する上で、最も注意が必要なのが法律(道路運送車両法・道路交通法)への適合です。これを怠ると、整備不良や違法改造として取り締まりの対象となり、車検にも通りません。
- ①ナンバープレートの視認性:
- キャリアや積載物が、車両後部のナンバープレートを隠してはいけません。文字や数字が一部でも隠れると違反になります。
- 隠れてしまう場合は、ナンバープレートを移設するキットを取り付ける必要があります。
- ② 灯火類(テールランプ、ウインカー、ブレーキランプ等)の視認性:
- キャリアや積載物が、テールランプ、ウインカー、ブレーキランプ、バックランプ、リフレクター(反射板)などを隠してはいけません。後続車からこれらの灯火類が確実に見える状態を確保する必要があります。
- 隠れてしまう場合は、キャリアに増設用の灯火キット(テールランプやウインカー等が含まれる)を取り付け、車両の灯火類と連動させる必要があります。
- ③ 全長の制限:
- キャリアを取り付けた状態での車両の全長が、元の車検証記載の全長の1.1倍を超えてはいけません。ジムニーの場合、全長が短いため、比較的余裕はありますが、極端に後方に突き出るキャリアには注意が必要です。
- ④ 全幅の制限:
- キャリアや積載物が、車両の幅(車検証記載の全幅)からはみ出してはいけません。
- ⑤ その他の規定:
- キャリアや積載物に鋭利な突起がないこと。
- 確実に取り付けられていること(緩みやガタつきがない)。
これらの法規は、安全に関わる非常に重要なルールです。購入前に、製品がこれらの法規に適合しているか、あるいは適合させるためのオプション(ナンバー移設キット、灯火キットなど)が用意されているかを必ず確認しましょう。不明な場合は、販売店やメーカー、あるいは陸運局に確認することが賢明です。「知らなかった」では済まされません。
2.6. 価格と取り付けの手間
- 価格: 製品本体の価格に加え、取り付けに必要な部品(ボルト類、ヒッチメンバーなど)や、法規適合のためのオプション(ナンバー移設キット、灯火キット)、そして取り付けを業者に依頼する場合は工賃も考慮する必要があります。総額でいくらかかるのかを把握しましょう。
- 取り付けの手間: DIYで取り付けるのか、業者に依頼するのか。特にヒッチメンバーの取り付けは、フレームへの穴あけ加工が必要な場合や、配線作業が伴う場合があり、専門的な知識と工具が必要です。安全のためにもプロへの依頼を強く推奨します。リアキャリアも、スペアタイヤの移設など、意外と手間がかかる場合があります。
これらのポイントを総合的に検討し、安全かつ合法的に、そして自分の用途と予算に合った最適なキャリアを選びましょう。
3. おすすめリアキャリア
ジムニー専用設計品を中心に、おすすめのリアキャリアをいくつかご紹介します。(※多くの製品でスペアタイヤの移設または取り外しが前提となります)
3.1. ネクサスジャパン リアキャリア
スペアタイヤのブラケット外して既存のボルト箇所に固定するだけの簡単ボルトオン設計です。頑丈なスチール製で、高級感のあるチッピングブラック塗装で無骨なジムニーのワイルドなスタイリングを演出します。リアラダーとの同時取付も可能です。
3.2. RV4 Wildgoose リアマルチキャリア
ジムニーのリアゲートに取り付けて、サッと広げてすぐに使える大変便利な折りたたみ式キャリアです。道路交通法にも対応しています。
4. おすすめヒッチメンバー&ヒッチキャリア
ジムニーにおすすめのヒッチメンバーと、そのヒッチメンバーに装着できる代表的なヒッチキャリア(アタッチメント)をご紹介します。
4.1. まずは土台から! ジムニー用ヒッチメンバー選び
ヒッチメンバーは、車両後部のフレームに直接ボルト等で固定するパーツです。ジムニー(JB64・JB74)用にも、複数のメーカーから製品がリリースされています。
- 主要メーカー例:
- SUNTREX(サントレックス)TAG MASTER(タグマスター): 国内トップクラスのヒッチメンバーメーカー。車種専用設計で高い品質と信頼性。スチール製で、スタンダードなタイプと、より強度の高いタイプ(クラスC相当など)がある。取り付け説明書も丁寧。
- CURT(カート): アメリカの大手メーカー。比較的リーズナブルな価格と豊富なラインナップが魅力。ジムニー用も設定あり。取り付けには加工が必要な場合もあるため確認が必要。
- DMD: 日本製のヒッチメンバーメーカー。車種専用設計で、高品質な製品を提供。デザインにこだわった製品も。
- その他ジムニーパーツメーカー: APIO、ショウワガレージなど、ジムニー専門メーカーからもオリジナル設計のヒッチメンバーが販売されている場合がある。
- 選ぶポイント:
- 適合確認: JB64/JB74に適合するか、年式なども含めて確認。
- クラス(強度): ヒッチメンバーには牽引能力や垂直荷重によってクラス分けがあります。ジムニー用の場合、主にクラスA~C相当(最大垂直荷重50kg~75kg程度)が一般的。積みたいキャリアや荷物の重量に合わせて選びますが、車両側の制限も考慮する必要があります。
- 差込口サイズ(ヒッチ角): アメリカ規格の2インチ角が主流ですが、1.25インチ角のものもあります。使用したいヒッチキャリア(アタッチメント)のサイズと合わせる必要があります。
- 取り付け: 車両への穴あけ加工が必要か、バンパーカットが必要かなど、取り付け方法を確認。基本的には専門業者への依頼を強く推奨します。
- 価格帯目安: 約4万円~8万円程度(+取り付け工賃)
ヒッチメンバーは全てのヒッチキャリアの土台となる重要なパーツです。信頼できるメーカーの適合品を選び、確実に取り付けることが安全の第一歩です。
4.2. CURT ヒッチカーゴキャリア(折りたたみ式)
ヒッチカーゴキャリアの定番として非常に人気が高いのがCURT製品。特に折りたたみ式のモデルは、荷物を載せない時にキャリア部分を跳ね上げておくことができ、全長を短くできるため便利です。スチール製で頑丈ながら、比較的リーズナブルな価格設定も魅力。様々なサイズがありますが、ジムニーには幅120cm~150cm程度のものがバランスが良いでしょう。
4.3. THULE / YAKIMA ヒッチマウントサイクルキャリア
自転車を安全かつ簡単に積載するための専用キャリア。ヒッチメンバーに取り付けるタイプは、ルーフマウントタイプに比べて自転車の積み下ろしが格段に楽なのが最大のメリットです。自転車を載せるプラットフォーム型、フレームを吊り下げるハンガー型など様々なタイプがあります。ロードバイクからマウンテンバイク、e-bikeまで対応するモデルも。
4.4. CURT 折りたたみ式 スロープ付 カーゴキャリア
ヒッチメンバーに取り付ける、スロープ付きのカーゴキャリアです。自転車などを積載するときに非常に使いやすくなっています。
5. 取り付けと注意点
リアキャリアやヒッチキャリアは非常に便利なアイテムですが、取り付け方法や使用方法を誤ると、重大な事故や法律違反に繋がる可能性があります。安全かつ合法的に、そして快適に使い続けるために、必ず守るべき重要な注意点を解説します。
5.1. 取り付けはDIY? 業者依頼? 特にヒッチメンバーはプロ推奨
キャリアの取り付けを自分で行うか、プロに任せるか。それぞれの注意点があります。
- リアキャリア(スペアタイヤ部等): 比較的シンプルな構造のものが多く、工具と知識があればDIYも可能です。ただし、スペアタイヤの取り外し・移設作業や、ボルトの締め付けトルク管理など、確実に行う必要があります。自信がない場合や、トルクレンチなどの工具がない場合は、業者に依頼するのが安心です。
- ヒッチメンバー: 車両のフレームに直接関わる重要部品であり、取り付けには専門的な知識と技術、そして専用工具が必要です。穴あけ加工やバンパーカットが必要な場合や、灯火類のための配線作業が伴う場合もあります。取り付けミスは重大な事故に直結するため、DIYは絶対に行わず、経験豊富な専門業者(自動車整備工場、カスタムショップ、ヒッチメンバー販売店など)に依頼することを強く推奨します。
- ヒッチキャリア(アタッチメント): ヒッチメンバーへの取り付け自体は、差込口に挿してピンで固定するだけのものが多く、比較的簡単です。しかし、重量があるため、落下させないよう注意が必要です。灯火キットの配線などは専門知識が必要です。
5.2. 法規遵守! ナンバープレート・灯火類の視認確保
リア/ヒッチキャリア使用における最大の注意点が、法規の遵守です。特に以下の2点は絶対に守らなければなりません。
- ① ナンバープレートの視認性確保:
- 法律: 道路運送車両法により、ナンバープレートは車両の後方から見やすい位置に、確実に取り付けられている必要があります。文字や数字が隠れたり、汚れたりしてはいけません。
- キャリア装着時の問題: リアキャリアやヒッチキャリア、またはそこに積載した荷物(特に自転車や大きな箱など)が、ナンバープレートを隠してしまうケースが非常に多いです。
- 対策: ナンバープレートが隠れてしまう場合は、必ず「ナンバープレート移設キット」を使用して、キャリアや荷物よりも後方の見やすい位置にナンバープレートを移動させる必要があります。移設したナンバープレートには、夜間でも文字が確認できるようナンバー灯の設置も義務付けられています。
- ② 灯火類(テールランプ、ウインカー、ブレーキランプ等)の視認性確保:
- 法律: テールランプ、ブレーキランプ、ウインカー(方向指示器)、バックランプ、リフレクター(反射板)といった灯火類も、後方から確実に視認できる状態でなければなりません。
- キャリア装着時の問題: キャリアや積載物によって、これらの灯火類が隠れてしまう、または見えにくくなるケースがあります。
- 対策: 灯火類が隠れてしまう、または視認性が著しく低下する場合は、必ず「増設灯火キット(トレーラー用灯火セットなど)」をキャリアに取り付け、車両側の灯火類と配線を接続して連動させる必要があります。これにより、後続車に対してブレーキやウインカーの意思表示を確実に伝えることができます。
これらの法規対応を怠ると、整備不良として警察に取り締まられたり、車検に通らなかったりするだけでなく、追突事故などを誘発する非常に危険な状態となります。 キャリア購入時には、これらの対策が必要になる可能性を十分に考慮し、必要なキットも併せて準備・装着してください。
5.3. 全長・全幅の制限(はみ出しに注意)
車両の寸法に関する規定も守る必要があります。
- 全長: キャリアを取り付けた状態の全長が、車検証記載の全長の1.1倍を超えてはいけません。ジムニーは元々の全長が短いため、極端に長いキャリアでなければ問題になりにくいですが、念のため確認しましょう。
- 全幅: キャリアや積載物が、車検証記載の全幅を超えて、左右にはみ出してはいけません。特に横幅のある荷物を積む際には注意が必要です。
5.4. 最大積載重量の厳守と荷物の確実な固定
繰り返しになりますが、最大積載重量(車両側、ヒッチメンバー側、キャリア側の最も低い値)は絶対に超えないでください。過積載は破損や事故の原因です。
また、ヒッチカーゴなどに荷物を積む場合は、ラチェットベルトやカーゴネットを使用し、走行中に荷物が脱落しないよう、確実に固定してください。固定が不十分だと、荷物の落下による重大事故に繋がります。走行前、走行中の休憩時にも緩みがないか確認しましょう。
5.5. 運転感覚の変化:後退時や段差越えに注意
車両後部にキャリアや荷物が付くことで、運転感覚が変わることに注意が必要です。
- 後退時: 全長が伸びていることを意識し、後方の障害物との距離感に十分注意してください。バックカメラの視界も変わる可能性があります。
- 段差や坂道: 車両後部が下がりやすくなるため、駐車場入口のスロープや段差、轍などでキャリアの底面を擦らないように注意が必要です。特に折りたたみ式のヒッチカーゴを畳まずに走行している場合は要注意です。
- 旋回時: 内輪差・外輪差も通常と異なる場合があるので、狭い場所での右左折時には注意しましょう。
慣れるまでは、いつも以上に慎重な運転を心がけてください。
5.6. リアゲート開閉への影響
- リアキャリア: 製品によっては、キャリアや荷物がリアゲートの開閉を妨げる場合があります。荷物を降ろさないとゲートが開けられないのか、キャリア自体がスイングして開閉可能なのか、購入前に確認しましょう。
- ヒッチキャリア: キャリアの形状や取り付け位置によっては、リアゲートが開けられなくなる、または開く角度が制限される場合があります。折りたたみ式のカーゴキャリアでも、畳んだ状態で干渉する場合があるので注意が必要です。
リアゲートへのアクセス頻度が高い場合は、この点も考慮して製品を選びましょう。
5.7. 洗車時の注意
ルーフキャリア同様、リア/ヒッチキャリア装着時も洗車に注意が必要です。特に、自動洗車機の使用は基本的に避けるべきです。キャリアや車両、洗車機の破損リスクがあります。
6. 気になる車検への影響は?
「リアキャリアやヒッチキャリアを付けたままで車検は通るの?」これは多くの方が気になる疑問でしょう。結論から言うと、正しく取り付けられ、法規を満たしていれば、多くの場合、装着したままでも車検に通りますが、注意すべき点もあります。
6.1. リアキャリアの場合(スペアタイヤ部など)
スペアタイヤ取り付け部などを利用するリアキャリアは、多くの場合、ボルトオンで固定されています。
- 指定部品扱い: このようなキャリアは、道路運送車両法における指定部品に該当することが多く、確実に取り付けられており、鋭利な突起などがなく、車両寸法(全長・全幅・全高)の変化が一定範囲内であれば、構造変更手続きは不要で、装着したまま車検に通るのが一般的です。
- 注意点:
- 固定の確実性: 緩みやガタつきがないか、車検前に確認しましょう。
- ナンバープレート・灯火類の視認性: 前述の通り、これらが隠れている場合は絶対に車検に通りません。移設・増設が必要です。
- スペアタイヤの扱い: スペアタイヤを外している場合、車検時にスペアタイヤ(またはパンク修理キット)の搭載が義務付けられているか確認が必要です(ジムニーの場合は通常搭載義務あり)。移設している場合は、その取り付け方法が適切かも問われる可能性があります。
6.2. ヒッチメンバーとヒッチキャリアの場合
ヒッチメンバーと、それに装着するヒッチキャリア(アタッチメント)は、少し分けて考える必要があります。
- ヒッチメンバー本体:
- 車両フレームにボルト等で強固に固定されるヒッチメンバーは、構造変更手続きが必要になる場合があります。特に、牽引を主目的とするような高強度のヒッチメンバーの場合や、取り付けにフレーム加工などが伴う場合は、構造変更申請が必要となる可能性が高いです。
- ただし、近年では、指定部品として扱われ、一定の基準を満たせば構造変更不要となるヒッチメンバーも増えています。
- 確実なのは、購入・取り付け前に、製品メーカーや取り付け業者、または管轄の陸運局に確認することです。「構造変更不要」と謳われている製品でも、取り付け方法によっては判断が変わる可能性もあります。
- ヒッチキャリア(アタッチメント):
- ヒッチメンバーの差込口に挿してピンで固定するタイプのヒッチキャリア(カーゴキャリア、サイクルキャリアなど)は、積載装置とみなされ、工具を使わずに容易に着脱できるものであれば、基本的には装着したままでも車検に通るとされています。
- ただし、ここでもナンバープレートと灯火類の視認性確保、および全長・全幅の規定遵守が大前提です。これらを満たしていない場合は、キャリアを取り外さないと車検に通りません。
- また、キャリアに鋭利な突起があるなど、安全上問題があると判断されれば、取り外しを求められる可能性もあります。
6.3. 法規適合が前提! 不安な場合は事前に相談を
車検に通るかどうかの最終的な判断は、検査を行う検査官に委ねられます。そのため、以下の点が重要になります。
- 法規適合の徹底: ナンバープレート・灯火類の視認性、全長・全幅、最大積載量など、関連する法規を確実に遵守していることが大前提です。
- 事前の相談: 車検を受ける予定のディーラーや整備工場、あるいは管轄の陸運局に、事前にキャリアを装着した状態で車検を受けられるか相談しておくのが最も確実です。その際、装着しているキャリアの種類や取り付け方法、法規対応(ナンバー移設など)の状況を具体的に伝えましょう。
- 取り外し可能な状態にしておく: 万が一、車検時に指摘された場合に備え、ヒッチキャリア(アタッチメント)などは、すぐに取り外せるようにしておく(工具などを準備しておく)と安心です。
正しく取り付けられ、法規を遵守していれば、多くの場合リアキャリアやヒッチキャリア(アタッチメント)を装着したままでも車検に通りますが、ヒッチメンバー本体については構造変更が必要かどうかの確認が重要です。不安な場合は、必ず事前に専門家や陸運局に相談しましょう。
7. まとめ
ジムニーの限られた積載スペースを補い、カーライフの可能性を広げるための強力な選択肢、「リアキャリア」と「ヒッチキャリア」。この記事では、それぞれの違い、選び方のポイント、おすすめの商品、そして最も重要な法規に関する注意点や車検について、詳しく解説してきました。
- リアキャリア: スペアタイヤ部などを利用。荷物の積み下ろしが比較的楽。高さ制限の影響少ない。専用設計品が多いが、スペアタイヤ移設が必要な場合も。耐荷重はやや低め。
- ヒッチキャリア: ヒッチメンバー装着が前提。耐荷重が高く、アタッチメント交換で多様な用途に対応。脱着も容易。ただし、ヒッチメンバーのコスト・取り付け手間、全長増、法規対応(ナンバー・灯火)が必須。
- 選び方: 積みたい荷物、予算、取り付けの手間、デザインの好み、そして法規遵守を総合的に判断。
【要注意事項】
- 法規遵守: ナンバープレートと灯火類の視認性確保は絶対条件! 必要に応じて移設・増設キットを必ず装着。全長・全幅制限、最大積載重量も厳守。
- 取り付け: 特にヒッチメンバーはプロへの依頼を強く推奨。リアキャリアも確実な固定が重要。
- 車検: 法規適合が前提。ヒッチメンバーは構造変更の要否を確認。不安なら事前に相談。
リアキャリアやヒッチキャリアは、正しく選び、安全かつ合法的に使用すれば、ジムニーの積載能力を飛躍的に向上させ、キャンプ、釣り、サイクリングといったアクティビティを、これまで以上に満喫するための最高のパートナーとなります。
この記事が、あなたのジムニーに最適なリア/ヒッチキャリア選び、そして安全で快適なカーライフ実現の一助となれば幸いです。